『友禅』の着物について、ご紹介します☆ | KIMONO NADESHIKO

浴衣・着物 好きのための情報メディア

2017年10月19日

スポット

『友禅』の着物について、ご紹介します☆

引用:visualhunt
皆さんは着物、着ていますか?
着物は、日本の象徴であり、和の心。老若男女、姿勢も心も凛と美しくさせてくれます。この記事では、日本の文化『友禅染め』について詳しくご紹介していきたいと思います。『友禅染め』の文化を知り、「着物のある生活」を取り入れてみてはいかがでしょうか?

『友禅』とは、日本の1番代表的な染色法です

引用:visualhunt
『友禅』とは、日本の古くから伝わる染色技法のことで、「染色」とは、簡単に言うと「布を染める」ことです。皆さんは、ご自分で布を染めた(染色した)ことはありますか?染色剤を使えば、自分の好きな色や模様、オリジナルの布を作ることが出来るんです。

『友禅』という名前は、江戸時代に活躍していた扇絵師、”宮崎友禅斎”という方の名前に由来しています。当時、”宮崎友禅斎”が描く扇絵は、京都で人気がありました。友禅が描く扇絵を応用して、着物の小袖に染色したことが『友禅染め』の始まりになったと言われています。友禅の描く模様は、男女や貴族、身分の高低などを問わず評判だったそうです。主に描かれていたのは、四季の草花や竹、梅の丸紋模様等でしたが、多彩な色と、滑らかで柔らかい印象のある曲線を使用し、華やかで気品のある着物として流行していました。その結果、既に存在していた着物に関する雛形が、『友禅染め』の技術を新たに追加・刊行したため、一気に『友禅染め』の技法が広まったとされています。

京都で初めて発展した友禅染め、『京友禅』

引用:YouTube by JAPANmania
もっとも有名なのは『京友禅』といって、皆さんも一度は聞いたことがあるでしょう。『京友禅』とは、上でご説明した『友禅染め』の影響を一番受けている染色技法で、京都の伝統工芸の1つとなっています。主に生産している地域は、京都府京都市、宇治市、亀岡市、城陽市、向日市、久世郡久御山町です。柔らかな色彩、大判で目立つ柄、細部までこだわった刺繍や鮮やかな金箔等を使った”雅”で豪華絢爛なところが特徴です。

『京友禅』は花鳥風月の描画、動物や器物を表現する文様を絵画のように表す、美しい着物です。その制作工程は、1人の人間が行うのではなく、何十人の専門家・職人たちが多くの工程を経て作りあげる芸術作品なのです。主な工程は大きく分けると、1.下絵→2.糸目糊置→3.色挿し→4.伏せ糊置→5.仕上げ、となります。

1.下絵
まずはデザイン。スケッチ後、着物のサイズに起こします。

2.糸目糊置(イトオメノリオキ)
デザインを起こした着物の布に、糸目糊と呼ばれる専用の糊を、細い筒に真鍮の鼻先が付いた専用の容器で入れていきます。
この作業を行うことで、何色もの色を染め分けらることができるようになるのです。

3.色挿し
糸目糊置きが終わった後の模様部分に色を入れていきます。絵を描くように気ままに、美しい色で表現していきます。

4.伏せ糊置
色挿しが終わった後、糊や蝋をかぶせていきます。

5.仕上げ

『京友禅』でお馴染みの金箔や刺繍等を入れていく、装飾加工と行います。代表的な工程をご紹介しましたが、実際にはもっと多くの工程があります。一点一点、時間をかけて丁寧に作り上げているのです。

石川県加賀市で発展した友禅染め、『加賀友禅』

引用:visualhunt
石川県加賀市で作られている着物を指す『加賀友禅』は、”宮崎友禅斎”が京都から加賀へ移り住んだ後に、当時の加賀藩に支えられて栄えたとされています。加賀市は元々、絹や麻の産地であり、日本海に面した水に恵まれた土地であったため、独自の染色法が存在していました。それが『梅染め』と呼ばれる染色技法です。その名の通り、梅の樹皮や根を細かく砕いて作った液を使って染める技法です。

また、その他の染色方法には、『色絵』・『兼房染』等と言われる様々な染色技法があり、「加賀のお国染め技法」として江戸時代に確立されていました。”宮崎友禅斎”は、既に確立していた染色技法を刷新し『加賀友禅』として発展させたと言われています。

『加賀友禅』の特徴は、「加賀五彩」といわれる色を基調としていることです。(藍、黄土、草、古代紫、臙脂) 『京友禅』よりも落ち着いた色を使っており、加賀百万石の武家文化特有の趣が感じられます。デザインも、華やかさより現実味のあるものが多く、代表的なものに「虫食い」と言う、美しい花の中にわざと枯れた花を描くことがあります。そうすることで、一層自然のリアリティを表現することができるからなのです。

また、京友禅には「手描き友禅」と「型友禅」がありますが、加賀友禅は「手描き友禅」しかないのも特徴のひとつです。『加賀友禅』の工程は『京友禅』よりもやや複雑になっています。

1.下絵描き→2.糊置き→3.彩色→4.中埋め→5.地染め→6.本蒸し→7.水洗い

2つの『友禅染め』の異なる点は、最初から最後まで1人の職人が手掛けることが多いとされ、その職人は”作家”と呼ばれています。

江戸時代に京から発展した『江戸友禅(東京友禅)』

引用:YouTube by 東京都産業労働局
『東京友禅』とは、その名の通り、東京で作られる『友禅染め』のことを指しており、『江戸友禅』とも言われています。”宮崎友禅斎”が東京に行ったわけではなく、1603年に徳川家康が江戸幕府を開設した折、大名の参勤交代がきっかけで広まったとされています。京都から東京(江戸)へ、絵や染め物の文化が流れ、職人たちも移り住むようになったのです。

『東京友禅』は、昔は『京友禅』と同じく、複数の職人による作業分担で工程を行っていましたが、いつの日かスピード重視の環境へと変化したことにより、現在では1人の職人が最後まで仕上げるようになったと言います。なかでは、一つの作業場にそれぞれの工程の職人を集めて、一点一点作り上げている工房もあるそうです。工程としては、『京友禅』と同じような作業となります。

『東京友禅』の特徴は、江戸の町人や武家人好みの「千鳥」「磯の松」「網干し」「釣り船」等の風景画を描くところです。落ち着いた色が基調で、主に白や藍色を使ってすっきりと洒落た風合いに仕上げています。生活感が溢れる着物が都会的だとされていたのでしょうか。テレビドラマの【大奥】で観るような、大名の奥方や江戸城の女性には「御殿風」という京都の御所風、御所車のある柄が人気でした。

番外編!『手描き友禅』と『型友禅』の違い

引用:YouTube by 京友禅 振興協議会
今までご紹介してきた『友禅染め』は、すべて『手描き友禅』と呼ばれる、職人の手描きによって作り上げられた着物のことを指します。『型友禅』とは、西洋から合成染料の文化が流れてきてから開発された、明治時代以降に発展した『友禅染め』の一種です。その名の通り、人の手ではなく型紙を使用して同じ模様を何枚も作ることができるようになったのです。型紙だからと言って、『手書き友禅』に比べてクオリティが落ちるわけではありません。型紙の1つ1つも職人による手作りで、この型紙を作ることが、高度な技術を要します。また、その後の工程にある色挿しも手作業となるので、型があるからといって簡易な作品とは限らないのです。

『友禅染め』の文化や違いについて知ることができましたか?

今までご紹介してきた『友禅染め』は、すべて『手描き友禅』と呼ばれる、職人の手描きによって作り上げられた着物のことを指します。『型友禅』とは、西洋から合成染料の文化が流れてきてから開発された、明治時代以降に発展した『友禅染め』の一種です。その名の通り、人の手ではなく型紙を使用して同じ模様を何枚も作ることができるようになったのです。型紙だからと言って、『手書き友禅』に比べてクオリティが落ちるわけではありません。型紙の1つ1つも職人による手作りで、この型紙を作ることが、高度な技術を要します。

また、その後の工程にある色挿しも手作業となるので、型があるからといって簡易な作品とは限らないのです。

このまとめをシェア