いざという時のために!〜着物の染み抜き基礎知識・5つのポイント〜 | KIMONO NADESHIKO

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2017年10月19日

着物

いざという時のために!〜着物の染み抜き基礎知識・5つのポイント〜

引用:pixabay
大切な着物にうっかり染みを付けてしまった……そんな経験をしたことがある人はいませんか?着物に染みを付けた場合は、クリーニング店に染み抜きを依頼する人がほとんどだと思いますが、小さな染みで丸ごとクリーニングに出すのも何だかもったいないですよね。また、染みの種類によっては適切な対処で綺麗に落ちる場合もあります。そこで、ここでは自分でできる着物の染み抜き方法や、プロに依頼する場合をご紹介しましょう。

まず、着物についた染みの種類を確認する!

引用:pixabay
着物の染みには、うっかり何かをこぼして作った「できたての染み」と、着物を脱いで畳むときに気が付く「いつの間できた染み」があります。着物に染みを発見するとショックを受けてしまいますが、まずは落ち着いて対処しましょう。最初に、染みの種類が何かを確認することが大切です。
着物に付く染みで多いのは以下になります。

1.コーヒー・紅茶・日本茶などの飲み物
2.汗
3.口紅やファンデーションなどの化粧品
4.泥はね
5.墨や墨汁
6.醤油
それぞれの染みの種類によって対処の仕方は異なります。

着物についたコーヒーや紅茶の染み抜き

引用:pixabay
着物でランチやディナーに出掛けた時、うっかりコーヒーをこぼしちゃった!……ということは、よくありますよね。そんなときは、まず慌てないで応急処置を行いましょう。

【応急処置の染み抜き】
タイルを水に濡らして絞ってから、コーヒーや紅茶の水分を吸い取ってください。強く押し付けず、軽く押し当て流ようにして拭き取りましょう。こすったり、強く叩いたりすると着物の繊維に染み込んでしまうので要注意です。濡れタオルがすぐに用意できない場合は、ポケットティッシュを使ってもいいでしょう。

【家庭で行う染み抜き】
ベンジンを脱脂綿に含ませ、染みの部分を軽くたたくようにして落としましょう。染みが広がらないように内側に向けて狭い範囲を叩きます。脱脂綿に汚れが移ったらすぐに新しい脱脂綿に取り替えてください。ベンジンで拭いた後は、「輪染み」にならないように乾かないうちにタオルで挟んで汚れを移しましょう。その後、着物の下に布かタオルを敷き、水で薄めた中性洗剤を歯ブラシなどにつけてトントンと軽くたたくようにして汚れを移します。汚れが落ちたら水を使って洗剤の成分を落としてください。

【ベンジンを使うときの注意事項】
● 着物の染み抜きに使う場合は、精製度の高い良質な製品(値段の高いもの)を選びましょう。
● ベンジンは揮発性が高いので、染み抜き作業中にガスが空気中に散布されます。吸い込むと危険なので部屋の窓を開けて換気扇を回し、空気の入れ替えをしながら作業してください。
● ベンジンは引火性が強いので、染み抜き作業はストーブなどの暖房器具のそばで行うのはやめましょう。

意外と多い汗の染み抜きと着物の汗対策

引用:ぱくたそ
着物を着ている間は緊張感があるので気が付かないのですが、意外と汗をかいているものです。特に、衿や背中(裏地)部分は汗を吸っています。そのまま放置していると染みになってしまうので、片付ける前にお手入れをしましょう。

【応急処置の染み抜き】
乾いたハンカチやタオルで汗を押さえて、できるだけ水分を吸収してください。強く叩いたりこすったりするのは厳禁です。

【家庭で行う染み抜き】
襟足の部分や背中は汗をたっぷり吸っていることもあります。霧吹きに水を入れ、軽くシュッと吹きつけてから乾いたタオルで軽く叩くように拭き取りましょう。ただし、濡らしすぎると着物の生地が縮んでしまうこともあるので気をつけてください。着物の染み抜きをしたあとは、風通しのよい場所にかけて乾かしてからしまいましょう。

【着物の汗対策】
着物を着ているときは、洋服のように簡単に体の汗を拭くことはできません。そこで、「できるだけ汗をつけない」ように工夫をすることが大切です。メッシュ素材で汗を吸いながら風も通してくれる「汗取り襦袢」などの肌着を利用しましょう。

口紅やファンデーション、ボールペンなどの染み抜き

引用:pixabay
口紅やファンデーション、ボールペンなどは油性の汚れなので、ベンジンで落とせます。着物の下に布を敷き、良質なベンジンを脱脂綿にたっぷり含ませ、染みの部分をトントンと軽く叩いて下の生地に汚れを移動させてください。強く押さえつけたりこすったりしないように気をつけながら、少しずつ行いましょう。口紅やファンデーション、ボールペンなどの染みは目立つので、焦って濡れたおしぼりなどでゴシゴシこすってしまう人もいます。けれども、そのような行為は汚れを広げてしまうだけなので絶対にやめてください。もし、シミが気になってもそのままで!家に帰ってから染み抜き処理をしましょう。

ただし、自分でやっても落ちない場合は、何度も繰り返すよりも専門家の手に委ねるほうが無難です。着物の染み抜きをやっているクリーニング業者などに依頼しましょう。印鑑の朱肉やマジック、クレヨンなどが付いた時も同じお手入れをしてください。

また雨の日やその翌日に着物を着ると、裾に泥はねが付くこともあります。泥は濡れている状態で拭いたりこすったりしないようにしてください。そのまま放置して乾燥させましょう。完全に乾いてから柔らかい布で拭き、指先で軽く揉むと落とすことができます。

落ちない場合は早めにクリーニングに出そう!

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着物の染み抜きは、小さいものであれば水やベンジンなどで落とすことができます。けれども、自分でやってみても落ちない場合は、無理をせず着物の染み落としを扱っているクリーニング店に早い段階で依頼するほうがおすすめです。専門店であれば、シミの種類に合った溶剤で染み抜きをしてくれます。また、染みだけではなく着物全体の汚れが気になる場合は、丸洗い(油汚れを落とすドライクリーニング)や洗い張り(水洗いで着物全体を洗う)を依頼することもできます。定期的にお手入れをして綺麗な状態を保ちましょう。

染みをつけない気配りも大切です!

いざというときに慌てないように、染みの種類によっての応急処置を覚えていると役立ちます。また、着物で外出するときには、ウェットティッシュやポケットティッシュ、小さいタオルなど染み抜きに使えるものを持っていると安心です。食事をするときには大きめのハンカチを膝に乗せる、濡れた場所を歩くときには裾を持ち上げるなど、汚れないような気配りも大切でしょう。

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