かんざしの種類を知ろう!アレンジ上手になるためのかんざし辞典 | KIMONO NADESHIKO

浴衣・着物 好きのための情報メディア

かんざしの種類を知ろう!アレンジ上手になるためのかんざし辞典

引用:visualhunt
「かんざし」は、昔から日本女性の髪を彩ってきたアクセサリーです。歴史の古いアイテムにもかかわらず、現在でも伝統的なものからモダンなものまでさまざまな種類が展開されています。さらに、今やかんざしは和装にするものとは限りません。ジーンズなどのカジュアルなスタイルにコーディネートすることもできるのです。かんざしの種類を知って、上手にヘアアレンジしてみましょう!

時代とともに変化してきたかんざしの種類

引用:pixabay
かんざしの歴史は古く、その始まりは縄文時代までさかのぼります。当時は、装飾品というよりも「呪術の道具」として用いられていました。その後、奈良時代には、大陸からさまざまな文化とともに髪飾りが伝来し徐々に国内に広まったのです。そして、江戸時代には髪型のバリエーションが増えるとともにかんざしも普及し、髪飾り職人によりいろいろな種類が生み出されました。その中でも、平打かんざし・玉かんざし・チリカン・ビラカン・松葉かんざし・びらびらかんざし・つまみかんざしなどは、現在でも花柳界の女性から一般女性まで幅広く愛用されています。

江戸時代、かんざしの素材は金属(銀・すず・真鍮など)やガラス・べっ甲・香木・水晶・布などが用いられていました。現代では、それらだけではなく、プラスチックやカットガラス、レースやリボンほか、洋装のヘアアクセサリーと同じ素材を用いたかんざしも登場しています。

知っておきたい基本的なかんざしの種類

現在でも使われている、基本的なかんざしの種類を覚えておきましょう。

1.平打かんざし
平べったい「頭」(円形・亀甲形・菱形・花形ほか)に1本の足が付いたかんざしです。頭部分には、手の込んだ透かし彫りなどで家紋や名前の頭文字、植物や風物詩などの模様をほどこしているのが特徴になります。昔は、芸妓さんなどの間で「想い人の名前」を密かに彫るのも流行っていたとか!平打かんざしは、金属(銀など)・べっ甲・象牙などを用いるのが主流ですが、最近の製品ではプラスチック製のリーズナブルなものもあります。

2.玉かんざし
耳かきかんざし(かんざしの足の先端が耳かきの形になっているかんざし)に、「玉(球形の飾り)」が1つさしてあるだけのシンプルなデザインのかんざしです。江戸時代から現代まで変わらぬ人気を保っているタイプで、1本足と2本足があります。昔は、玉飾りの素材は珊瑚(さんご)・翡翠(ひすい)・瑪瑙(めのう)・象牙・ガラスなど主流でしたが、今ではプラスチックやメタル素材など幅広く展開されています。

3.チリカン
芸者さんなどが「前差」(女性のマゲの前方にさすかんざし)として使用している金属製のかんざしです。飾り部分がばね状になっているので、ゆらゆら揺れチリチリと音が立つのでこの名前になりました。

4.ビラカン
扇子(せんす)形や丸形の頭飾りに、細長い板状の「ビラ」がぶら下がりユラユラと揺れる華やかなかんざしです。主に、舞妓さんが使用しています。

5.ビラビラかんざし
江戸時代には、未婚女性用かんざしとして若い女性が好んでさしていました。飾りの本体から鎖が何本もぶら下がって、その先にさまざまな飾りが下がっているゴージャスなタイプとなっています。

装飾性の高い特別なかんざし

普段着の着物や浴衣などには用いませんが、舞妓さんや子供の七五三、成人式や振袖などの華やかな着物姿に用いるかんざしもあります。

1.つまみかんざし
「花かんざし」とも呼ばれる華やかで可愛らしいかんざしです。薄い布を折ったり重ねたりして細工をほどこし、花や鳥などの模様を作ったものを飾りにします。伝統的なものは飾り部分が大きいのですが、小さくてシンプルな現代風のデザインであれば、普段着の着物や浴衣にもコーディネートできるでしょう。

2.薬玉(くすだま)
正絹を使いつまみ細工で小さな花を作り、「くす玉」のように球形にしたかんざしです。くす玉からタッセルや飾りのパーツがぶら下がっているデザインもあります。小さめでシンプルなデザインなら、普段着の着物や浴衣にも合わせることができます。

3.飾りかんざし
花鳥風月・小動物・身近な小物などのモチーフを使い、自由にさまざま趣向を凝らしたかんざしです。デザインや素材によっては、普段着の着物や浴衣だけではなく洋服にもコーディネートできるタイプです。

普段使いできるかんざしの種類とは

:visualhunt
振袖の場合は、着物の華やかさに負けない存在感のあるかんざし、訪問着や付け下げなど「フォーマルシーン」の着物には、伝統的で上品なデザインのかんざしがぴったりです。

けれども、小紋や紬などのカジュアルな着物や浴衣の場合は、着物のデザインに合わせて好みの種類を選んでもかまいません。ただし、ゴージャス過ぎるかんざしだと、頭ばかりが「悪目立ち」してしまいます。少し控えめなくらいのほうが、さりげない色気や品のよさ、かわいらしさなどを演出することができるでしょう。
以下のポイントをおさえて選んでください。
・着物の柄とおそろいのモチーフ(桜柄の着物なら桜のパーツが付いたかんざしなど)
・着物や帯の色から2〜3色取った色のかんざし
・上品さを演出したいなら、パールやべっ甲風などクラシカルな素材のかんざし
などがおすすめです。

上級者はかんざしと小物をコーディネートする!

引用:girlydrop
普段着の着物・浴衣・洋服などに、好みの種類のかんざしをさすときは、さりげなく「ほかの着物小物と素材をコーディネートする」のが上級者のおしゃれです。

例えば……
・現代風のデニムのつまみかんざしを付けるなら、バッグはデニム素材のハンドバッグを
・ビーズやガラスパーツを使ったかんざしを付けるなら、同じ素材の帯留めやバッグを(とめ金にビーズやガラスパーツをあしらったものなど)
・パールのかんざしをつけるなら、パールの小さめリングを

などのように、かんざしと同素材の小物を身に付けるとおしゃれです。コツは、かんざし(頭部)から離れた場所の小物にすること!パールのかんざしにパールのピアス、ビーズのかんざしにビーズがゆらゆらゆれるピアス……では、ちょっとしつこくなってしまいます。帯留め・バッグ・草履など、かんざしとは離れた場所の小物と合せたほうが「上級者」を感じるコーディネートになるでしょう。

かんざしをセンスよくコーディネートしよう!

かんざしの種類を把握しておくと、どのような着物や浴衣(洋服も)に、どのようなかんざしをコーディネートするといいのかがわかります。基本的には自由とはいえども、やはり「姿にふさわしいかんざし」があります。例えば、すっきりと粋な浴衣に、シャラシャラとした飾りが付いたゴージャスなかんざしを付けたら浮いてしまうものです。季節・着物・髪型・個性にぴったりとくるかんざしを付けてこそ「おしゃれ上級者」!いろいろ試してみてくださいね。

このまとめをシェア